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[東京, 日本]

Art Fair Tokyo 19(2025)

左:マルタン・マルジェラ《Kit (black) 》

中央上:かじおかみほ《BK0511》

右:堀尾貞治《千GO千点物語》

右下:ハシグチリンタロウ《BLACK DESTROY》

2025.3.7(Fri) - 3.9(Sun)

11:00 - 19:00 ※最終日のみ17:00閉場

東京国際フォーラム ホールE/ロビーギャラリー

​ブース:N015

Miho Kajioka かじおかみほ (1973 - )

 

 岡山生まれ。パリ在住。サンフランシスコ、モントリオールで絵画と写真を学ぶ。帰国後、東京で報道の仕事に従事する。東日本大震災を機にアート活動を再開。2019年にはフランス国内で出版された写真集でもっとも優れた1冊に贈られる権威ある写真賞、ナダール賞を日本人として初受賞、注目される(過去にはウイリアム・クライン、マン・レイ、サラ・ムーン、リチャード・アヴェドンなど錚々たるアーティストが輩出された)。2016年、震災の取材時に出会った人々や土地の記憶、自身の感覚で作品を編んだ手作りのアーティストブック「ソレカラ、クジャク達ハ ドコヘ行ッタノ?」(原題『And, where did the peacocks go』)を発表、展覧会が評判を呼び、2022年には「今デモ マダ クジャクノ声 聞コエマスカ?」(原題『And, do you still hear the peacocks?』)を再編成し出版する。日本とパリを行き来しながら制作、欧米諸国を中心に作品を発表する。

Martin Margiela マルタン・マルジェラ (1957 - )

 

フランスとベルギーを拠点に活動するマルタン・マルジェラは1988年にメゾン・マルタン・マルジェラを設立し、ブランド設立20周年を迎えた直後、ファッション界を去り、以降はアーティスト活動に専念する。作品は、絵画、彫刻、インスタレーション、コラージュ、映像など幅広いメディアに及び、日常では見過ごされがちなものや、逆に型破りなものへの愛着を反映し、混乱や詩的な邂逅に注目し、儚さの中に美を見出している。マルジェラは物体は常に変化し続けると考え、時間の痕跡に興味を抱いている。。マルジェラにとって重要なインスピレーションの源は、人間の身体、皮膚、髪、そして無限の驚きを秘めた都市環境である。知らないものや予測できないこと探求するとともに、素材に対する特別な感受性を持っている。彼のキャリアにおいて、美術館で彼のデザイン展覧会は、ボザール(ブリュッセル)、ボイマンス・ヴァン・ベーニンゲン美術館(ロッテルダム)、ハウス・デア・クンスト(ミュンヘン)、LACMA(ロサンゼルス)、サマセット・ハウス(ロンドン)などがある。また美術家としては、ラファイエット・アンティシパシオン(パリ)、M WOODS(北京)、ロッテ美術館(ソウル)での個展を開催。昨年はスイス・アートバーゼルのUnlimitedにて大型作品を発表し衝撃を与えた。

Lintalow Hashiguchi ハシグチリンタロウ (1985 - )

 

長崎県生まれ。10代の頃、パンクロックに衝撃を受け、創作活動の原点となる。2004年に福岡教育大学書道専攻課程に入学を機に、言葉を用いた表現活動を開始。その後、戦後の様々な前衛芸術運動に感化され、中でも戦後日本を代表する書家・井上有一の「書は万人の芸術である」という考えに触発され、「日常を生きるためのエネルギー」として書を展開。日々生活の中で閃くインスピレーションを断片的な言葉でノートに書き付けており、それらが生き物のように融合し、変化して生まれる作品群は、WORD MUTANT(ワードミュータント)と呼ばれている。安価なタオルを筆記具として用い、高速なPUNKさながらに一気呵成に書き上げるスタイルは現代において文字が活字や画面上に打ち込まれるだけの単なる記号になってしまった状況の中で、異質な存在感を放っている。2015年 井上有一の顕彰展「天作会」メンバーに抜擢。2018年 「ART SHODO TOKYO」に選出。2019年「LUMINE meets ART AWARD 2018-2019」グランプリ受賞 、シェル美術賞2019入選。2020年 ARTISTS’FAIR KYOTO 2020へ選出。2023年 渋谷パルコ GALLERY Xにて個展、作品集発行。アーツ前橋10周年特別展『New Horizon ー歴史から未来へー』参加。近年は香港、韓国、仏など海外でも展覧会やライブパフォーマンスなど展開する。

Sadaharu Horio 堀尾貞治 (1939 - 2018)

 

兵庫県神戸市生まれ。三菱重工業神戸造船所に勤める傍ら、1950年代半ばから創作活動を開始。1957年芦屋市展初出品作が入賞し、具体のリーダー吉原治良の目に留まる。1965年から具体美術展に出品、翌年具体美術協会会員となり具体解散まで在籍し出品を続けた。1985年頃からは「あたりまえのこと」という一貫したテーマのもと、年間100回以上の展示・パフォーマンスを開催。それは、あたりまえすぎて意識にのぼらない存在を、美術の力で可視化しようとする作家としての決意表明であり、堀尾の制作コンセプトを貫くバックボーンとなる。1985年より身の回りの物に1日1色を塗るという「色塗り」を開始。1997年からは、毎朝起床後10枚程の紙を床にひろげ、一枚1分以内で書き上げる「一分打法」を開始.これらのシリーズは終生制作を続けた。2002年、芦屋市立美術博物館にて個展開催。2005年、横浜トリエンナーレに現場芸術集団「空気」とともに参加。 2010年代に入ると国際的に評価も高まり、アントワープ、ヴェネチア、ニューヨーク、香港で個展を開催。絵画からパフォーマンスまで多彩な活動を展開した。2016年奈良の喜多ギャラリー協力の元、最後の絵画プロジェクトとなる「千GO千点物語」として廃材パネルに千点を超える絵画作品を6日間で制作する。2018年逝去。2022年、森美術館 にて「地球がまわる音を聴く:パンデミック以降のウェルビーイング」に選出され、2023には神戸・BBプラザ美術館 にて「あたりまえのこと 千点絵画」展覧会を開催。NHKの日曜美術館で特集が組まれ再評価が高まりつつある。

[神戸, 日本]

かじおかみほ

And, do you still hear the peacocks?

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2025.2.21(Fri) - 3.10(Mon)

12:00 - 18:00

Closed:火曜 - 木曜

VAGUE KOBE

兵庫県神戸市中央区海岸通9-2 チャータードビル4F

写真家 かじおかみほ。

最初に出会ったのは彼女が暮らすパリだった。帰国直前で慌ただしい心の私の無作法な出会いを前に、彼女は大切そうに持ってきた包みをひろげ、不思議な所作で”本”と呼ぶその箱に入った紙ををゆっくりと開いたり次の扉へと向かったりした。特殊な装丁のその本は、文字が折りたたんだページの裏側に印刷されており、覗かなければ読めないようになっている。

その紙の上のモノクロームの写真たちは、小さな記憶の断片のように空間にたゆたい、觀手の視点を遊ばせる。寂しげでもあり、儚げでもあり、心の琴線に触れる美しいその本は、東日本の大震災の当時、報道の記者として取材に明け暮れていた彼女がメディアでは伝えられなかった感覚やなにかがつもり重なり満タンの箱からスルリと飛び出してきたものでもあった。

その感情と記憶は、かじおかが大学時代から遠ざかってきたアートの世界へ戻るきっかけとなった。

 

「カチッと何かが切り替わる音がした。」とかじおかは言う。

 

かじおかは、写真という媒体を介在しながら自己他者も超えた記憶という風景、切り離せない時間という風景を描き出そうとしているようにみえる。

 

震災から5年後に生まれたこの写真の断片が連なる本を、その切れ端の重なりをめくりながら、わたしはいつしか涙していた。

触れたかったなにか、触れられなかったなにか。

 

この本を、重なりゆく縁と可能性の中で毎年どこかで桜の花びらに出会うように、その儚く不確かな記憶という感情を風景にするように、この作品を媒体に旅をし、出会い、暮らしの風景と交差させていこうと思った。

 

毎年3月、このあたりの季節に開催するのがいい、どこかで小さくても大きくても、1点でも、たくさんでも、プライベートでもパブリックでも、日本でも海外でも。

きっとその場所へつれていってくれると感じる。

 

東日本の震災から14年、そして、阪神・淡路で起きた地震から30年が経った。

不思議なタイミングでカチッと時計が重なり、神戸の街 でこの試みを始められることになったことを心より嬉しく思う。

 

正木なお 2025年春

Miho Kajioka『And, do you still hear the peacocks?』2025 開催に寄せて

Miho Kajioka かじおかみほ (1973 - )

 

 岡山生まれ。パリ在住。サンフランシスコ、モントリオールで絵画と写真を学ぶ。帰国後、東京で報道の仕事に従事する。東日本大震災を機にアート活動を再開。2019年にはフランス国内で出版された写真集でもっとも優れた1冊に贈られる権威ある写真賞、ナダール賞を日本人として初受賞、注目される(過去にはウイリアム・クライン、マン・レイ、サラ・ムーン、リチャード・アヴェドンなど錚々たるアーティストが輩出された)。2016年、震災の取材時に出会った人々や土地の記憶、自身の感覚で作品を編んだ手作りのアーティストブック「ソレカラ、クジャク達ハ ドコヘ行ッタノ?」(原題『And, where did the peacocks go』)を発表、展覧会が評判を呼び、2022年には「今デモ マダ クジャクノ声 聞コエマスカ?」(原題『And, do you still hear the peacocks?』)を再編成し出版する。日本とパリを行き来しながら制作、欧米諸国を中心に作品を発表する。

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