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vol.103

Painting/ヴォルフガング ザイエール WOLFGANG SEIERL (1955〜)

2017.6.24-7.9

絵画によるアプローチ

 

オーストリア在住の画家・音楽家として類まれな才能を発揮するヴォルフガング・ザイエールの5 年ぶりとなる展覧会を開催します。

薄っすらとオブラートにつつまれたような穏やかな色彩の下にかくされた細やかな狂気は線、あるいは強い色彩として姿を表します。

 

W・ザイエールは、近年の作品[ バナー:優しさへの抵抗]についてこう語っています。「このシリーズは心の中の曖昧さや、曖昧さが私たちに見せる恐怖や限界について展開する、最高の言葉のセンスを持った政治的作品だ。それは疑問を抱くことだけが原因なのでも、疑問について思考するからでもなく、思考を超えて絵画の彩りやストロークによって複雑な関係性の中へと入り込んで行くからだ。」

カンバスから染み出してじんわりと空間全体を支配するような静寂の気配。ひとつひとつが独立していながら互いが互いに干渉し、響きあう、W・ザイエールの絵画によるアプローチは、彼が近年深い関心を寄せている「禅」の概念や、この世界そのものの成り立ちを感じさせるようでもあります。繊細にして優れた感性をもつアーティストの作品をご覧いただければ幸いです。尚、この展覧会の開催にあたり、ご支援くださったオーストリア大使館にこの場をお借りして感謝申し上げます。

正木なお

2017年6月

 

Wolfgang Seierl /画家・音楽家・作曲家

1955年、ウィーンに生まれる。ウィーン、ザルツブルグにて絵画、哲学、ギター,音楽学や作曲を学ぶ。画家としてのザイエールは、個展、グループ展をオーストリア、ドイツ、ベルギー、フランスをはじめヨーロッパ各地や、日本、台湾、アメリカにて発表している。またパフォーマンス、コンサートも国内外で多数出演。近年ではコンテンポラリーダンサー岡登志子率いる《アンサンブル・ゾネ》とのコラボレーションも行っている。

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