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vol.136 

長谷川竹次郎の世界

長谷川竹次郎

Takejirou Hasegawa

2021. 11.6(土) - 11.21(日)

ある時、竹次郎先生の工房を訪るといつものようにお茶を点ててくださった後、「わたしはね、前からずっと疑問におもっていることがある。手前にあるものは大きくみえて、向こうにあるものは小さくみえる。写真に撮すと、走っている車は止まっているけれど走って見える。これが不思議でたまらない。ずっとなぜだか考えている。」と真剣に仰る。その場にいる人達が笑うので、先生は黙ってしまわれた。私はいつもこういう場面に出くわすと、ああ、この人だからこそああいうものが生まれるのだな、と本当に心の底から驚歎し心が震える。少年のような真摯な眼差しと類まれな鍛金師としての技量から、自然界に何気なく存在する奇跡のような瞬間瞬間のすべてがとても愛おしい煌めくものとなって我々の前に生まれるのをみるのである。

 

Gallery  NAO MASAKI 正木なお

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長谷川竹次郎    Takejiro Hasegawa

愛知県生まれ。金工家。尾張徳川家の御用鍔師の家系で、明治より茶道具金工家として一望齋を名乗る。二代目長谷川一望齋春泉の次男として生まれ、1968年人間国宝・故関谷四郎氏に鍛金を師事。1980年より長谷川竹次郎として各地で展覧会を行うとともに、1994年三代目一望齋春洸を襲名。モダンで洗練された茶道具が多くの茶人たちの注目を集めている。

 

Gallery NAO MASAKIにて

〈個展〉2006「竹次郎博物館」, 2008「長谷川竹次郎の世界~愉しき形~」, 2010「竹次郎の道具図鑑」, 2011「豊穣のかたち」, 2014「遙かなるシルクロード」, 2016「竹次郎博物館2016」, 2019「我中山河  竹次郎の憧憬世界」

〈グループ展〉2009「エジプト帰り展」, 『モビール』十人の作家による動く彫刻」, 2012「うつわについて」, 「縁起モノ展」 2013「The book as ART;本のイメージ、あるいは抽出されたカタチ。」  2015「gallery's eye ‐選ぶ力‐」,「something new,with feel art 10」, 2019「辻徹追悼展 -現-」

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