top of page

vol.48

秦泉寺由子 Yoshiko Jinzenji

彩 irodori ー 秦泉寺由子の天然染料の世界

2012.9.1-9.16

インドネシア、バリ島に工房を構えて25 年。

秦泉寺由子の素材とクリエイションの世界への探求は果てない。

しかし確実に時は重なり、いつしか訪れる工房の終駕を考えざるを得ないことも事実である。

 

そして彼女は自分自身に問う。

「わたしは自分の探求したこの世界をきちんと次の世代に伝えられているのか?」と。

 

今回、繰り広げられるのは亜熱帯天然染料の彩り。

かつて秦泉寺が世界で初めて発表した青竹で染めた神々しい白の上に、ソガの黄色や蘇芳の赤などの赤道直下の植物たちで染上げた布やショールたち。

「天然染料は時聞が宝です。」

そうして10 年から20年以上の歳月を経て熟成された色たちが、今ここに踊る。

 

秦泉寺は語る。

「天然染料の世界は美しい。けれどもその奥にある本質的なものに目覚めなければならない。そして人間は生物であり、この森羅万象の点の一部なのです。」

多くの人が、秦泉寺由子のクリエイションに惹かれてやまないその理由は、彼女のその深く潔い生き様がみいだす世界、経験から紡ぎだされる言葉。

その一つ一つが、シンプルな真実に向かい合わせてくれるからなのだろう。

 

1 7 年前に亜熱帯のジャングルに踏み入って採取した、力リマンタンに生育するウロップドヨの繊維やタパ(樹皮) を天然染料で染上げた、プリミティブな素材感溢れる貴重な作品も登場する。

この無垢なアーティストの世界観を今度、多くの方々に見て感じて頂きたいと切に願う。

 

正木なお

 

秦泉寺由子/ Yoshiko Jinzenji

1965 京都女子大学卒業

1968-80 北米に住む

1983 「ジンゼンジヨシコ・キルトグループ」結成以来、個展、グループ展を多く聞く

1991 バリ島に「スタジオ・ジンゼンジーGRASS HOUSE 」 設立

1994 今井俊博氏がプロデュースする「現代の道具展」出展

を機に白色を探求し、ついに「竹染め」をみつける

2005 「 秦泉寺由子のキル卜の世界」(倉敷民芸館) 

2007 「秦泉寺由子in Kochi 特別展ーキルトの世界植物の神彩」(高知県立牧野植物園)ほか、海外でも個展を開く作品は、

Museum of Art and Design(New York)、Victoria and Albert Museum (London)などのパーマネン卜コレクションとなっている

gallery feel art zero (現Gallery NAO MASAKI)にて

2010 「White X 白 秦泉寺由子」

bottom of page